小児等在宅医療連携拠点事業の理念・目的

「YeLL(いぇーる)」は、医療法人稲生会が北海道より任を受けて推進している「北海道小児等在宅医療連携拠点事業」の愛称です。

「yell」は英語で、「応援する」という意味。
日本語の、「家」に似た響きを持つ言葉でもあります。

日常的に高度な医療行為が必要なために、病院で生活している子どもたちがいます。
でも、医療的ケアを自宅で受けられる体制と、ご家族を支える環境さえ整えば、その子どもたちも、自分の家で、家族と暮らすことを選択できます。
医療を必要とする人々が家で暮らすことを可能にするネットワークを北海道につくり、拡げていく。
在宅医療の重要性をより多くの方に知ってもらいながら、多様な人々が一緒に暮らす社会づくりをすすめる。
「応援」してくれる仲間を、北海道にどんどん増やす。

それが、「YeLL」の活動の目的です。

そして、そんな「YeLL」の活動目的に共鳴した十勝地区の有志が集まり、 “とかち流のYeLL” を広めるべく、2017年からスタートしたのがいぇーる in とかち」のプロジェクト です♪

なぜこの事業が必要なの? その背景は?

これまで、人工呼吸器や胃ろうなどの医療の助けを日常的に必要とする子どもたちの多くは、病院で生活せざるを得ませんでした。
しかし、在宅移行を進める国の後押しもあって、症状が安定した場合には長期入院せずに在宅生活に移るケースが増えています。
こうした子どもたちの在宅生活を支えるのが、自宅で医療的ケアを実施する「小児等在宅医療」です。
ここ広大な北海道では、高度な医療資源が特定の地域に集中しており、在宅で利用できる福祉サービスの提供体制も、地域ごとに偏りがあるのが現状です。

子どもには、一人一人に大きな可能性があります。
北海道で、ひとりでも多くの子どもが在宅生活を選択できる環境を整えていくことは、豊かな社会づくりにもつながると私たちは考えています。
子どもたちの在宅生活を支えるために福祉、医療、教育を提供されている北海道各地の皆さんをつなげ、情報共有しながら互いに支え合うネットワークの拠点をつくりたい。
その思いから、この事業が立ち上がりました。

それぞれの地域の関係者とともに、その場所にあった解決策をみんなで考える。その答えをみんなで実践する。
それが「YeLL」のスタイルです。「YeLL」では、次の項目を中心に事業を進めていきます。

協議会(話し合いの場)の開催

全道各地から医療・福祉・教育などの関係者が集まって協議会を開催し、「YeLL」の事業の方針を共有したり、地域ごとの課題の洗い出しやその対応策を検討します。

地域の資源の情報集めと発信

全道各地、それぞれの医療・福祉・教育などの資源の情報を収集し、各地の病院で患者さんが退院される時などに活用していただけるように、このHP上で発信していきます。

仲間となってくれる医療機関を増やす活動

全道各地に出向いて、在宅医療・小児医療を担う医療機関や訪問看護ステーションなどに協力を呼びかけながら、NICUを有する専門医療機関を含めたネットワークを構築していきます。また、現場で活躍する医療者を支援するために、実技講習会などを開催していきます。

福祉・行政・教育関係者のみなさんとの連携

全道の各地の福祉・教育・市町村保健センター・相談支援専門員などを対象に研修会などを開催し、子どもたちの在宅医療の重要性をより多くの方に知ってもらえるような活動を進めていきます。また、地域の関係者のみなさんの気になる子どもたちへの対応など、個別の相談に応じながら、連携体制づくりにつなげていきます。

患者さん・ご家族の相談窓口

患者さんやそのご家族から相談をお受けして、お住まいの地域で適切な医療・福祉サービスを受けられるように関係者のみなさんと共に調整していきます。また、関係機関のみなさんからの相談に対しても、「YeLL」のなかで蓄積されていく知識や経験に基づいてアドバイスを提供していきます。

ご家族の支援、道民の理解促進

ご家族同士の仲間づくりのお手伝いや、ピアサポートの場の提供、お亡くなりになった子どもたちのご家族のグリーフケアなど、ご家族や兄弟姉妹の子どもたちのご希望に応じた活動を行います。子どもたち向けの絵本やパンフレットの作成、シンポジウムの開催などを通じて、在宅医療の普及啓発に努めます。



※本ページは【YeLL[いぇーる]|北海道小児等在宅医療連携拠点事業】のホームページ http://yell-hokkaido.net/ の内容を転載させていただいております